秋の展覧会めぐり感想5番勝負!

tureusa2007-10-21

どうもtureusaです。今月行きたい美術館・博物館リストを半分制覇したのでメモしとくね。ちなみに、展覧会によって感想に熱の入り方が違うのは、まあそういうことですお察しください。

アンドリュー・ワイエス展 2007/3/20(火)〜10/14(日) 於:青山ユニマット美術館

ああああ好きだぜワイエス。ということで、2度目の訪問。ワイエスの絵を見るとなんで泣きたくなるのかなあって前回考えてて、今回は2度目ということもあり心静かに眺めることができたんだけど、ちょっとわかったかも。気配かもしれない、人間の。
ワイエスはヘルガとかクリスティーナとかシリとか(シリかわいいよシリ)、人物画がけっこう有名だけど、それらは写実的過ぎるがゆえに迫るものがあって怖いんだよね(褒めてます)*1。やっぱ風景画の方が断然よくって、「リングボルト」とか「ぼろ袋」とか、人物は決して描かれてはいないのに、明らかにそこに人の気配があって、それがひしひしと伝わってくる。ワイエスの絵って心象風景といわれてるけどホントその通りで、だからかな、「今そこにある気配」というよりは「過去そこにあった記憶としての気配」のようなものが絵全体を覆い尽くしてる。これがきっとわたしの問いへの答えだわ。このワイエスの目を通して描かれた人間の静かな記憶が、絵を見た瞬間に波となって押し寄せてきてるんだ。ああ、そうか、それを心臓にまともにガツンとくらうんだから泣けるのかもしれない、と。いや、違うかも。ようわからん。でもいいもんはいい。ワイエス最高スゲー(思考することを放棄しました)。ちなみに、ワイエスは終わっちゃったけど、青山ユニマット美術館は、常設でいわゆるエコールド・パリの名品がけっこう、なかなか、いやかなり揃ってるので一見の価値有りだと思う。前回の訪問記はこちら

BIOMBO(ビオンボ) 2007/9/1(土)〜10/21(日) 於:サントリー美術館

いわゆるセレブの街ぎろっぽんの東京ミッドタウンに移転したサントリー美術館であります。夜8時までやってるので仕事後に。作品保護の関係で、時期によって見られる屏風が違ったわけで、わたしが見たいのは終わってた(ノ_;)。花鳥風月より風俗とか合戦とかの群像ものが多かった。屏風のことは全然知らないけど、あの遠近法を無視した不思議な俯瞰図はなんかだまされてる感じがしてけっこう好きだ。あと、出産のときに飾るという真っ白な屏風が美しくて、それってなんかいいなーと。逆に誰かが亡くなったときは屏風を天地逆さに置くとか。風習って美しいな。別々の美術館で所蔵されてる夫婦猫が束の間の再開を果たしたという屏風がありました。天の川伝説か。しょうがないけどけっこうあるんだね、こういう生き別れパターンの美術品って。切ないなあ。

キスリング展 2007/10/13(土)〜11/18(日) 於:府中市美術館

ああこの人、人間が好きなんだろうなあ。だからかな、この人はそうとういろんな画家の影響を受けて自分の画風へと辿り着いたんだね。予備知識なしで行ったもんだから、最初の方は、何?何が描きたいのこの人は…と怪訝に眺めてたんだけど、それでも初期のころから人物の観察力とか表現力は抜きん出てて、どれも目を引いてた。そうして行き着いた先に描かれた人物の美しさは、そりゃあもうため息もんだったー。ディテールの凄さとか妖艶なまなざしにぱっと目が行くんだけど、いや、それよりこの人の描く四肢がエロイ。いや、エロイとかいうと低俗っぽいか。もっと高尚な美しさだと思うけど言葉が浮かばない。とにかく流れるような白い裸体を思う存分堪能できる。特に指の柔らかさとか、ふ、ふ、ふくらはぎの弾力とか(興奮)。キスリングは、良い。

シャガール展 2007/10/13(土)〜12/11(火) 於:上野の森美術館

確かシャガール展は何年か前に大規模なのを都美術でやってて、それで断然ファンになったわけです。今回は油絵はそこそこに、聖書や物語作品をモチーフにしたリトグラフなどの版画がそれはもうずらららら〜っと一挙に見られるよい機会。シャガールは油もいいけど(いや、油がいいけど)、彼の描く独特の造形が発揮された作品達は、小品ながらどれも捨てがたく、秘密の書庫の味がした。あと、写真家が撮ったシャガールと、オペラ座の天井画の制作風景がよかった!そうなんだよなー。シャガールってつい最近まで生きてたんだもんなー。わたしと同じ時期に生きてたんだよこんな人が。すごいよ。どうすごいのかわかんないけど(笑)。

フィラデルフィア美術館展 2007/10/10(水)〜12/24(月) 於:東京都美術館

これは行くべき。どれもこれも主役級の作品ばかりで恐ろしい。
あーピサロいいよねピサロー、モネ好きだよモネ、うあルノワールやっぱすごいぜルノワールピカソ意味分からんピカソ、ってマティス愛してるわマティス、まあまた会えたわねシャガール、うわキリコ苦手ちょう苦手、クレーかわいいミロおちゃめ、ルソールソー会いたかったよモディリアーニ儚いしオキーフなんて大胆なってうあああああワイエス深すぎるよその轍…。と、こんな感じです。え?もっと真面目に感想書けって?いや、このボリュームの展覧会を語るのはわたしには無理。(ちなみに、画家の羅列のようなこれらの呟きは全部ほめ言葉です。やっぱすごいよ。)

*1:そういえばワイエス自身も風景画に人物を入れるとき、わざと顔を帽子で隠したりとかしてたなあ。あの絵は超好きだ。