こんな映画を見た

tureusa2007-02-08

夏目漱石の千円札まだ持ってます?」と漱石ファンの同僚に聞いてみたら「いっぱいあるけど大事にしてるからあげない」と言われたtureusaです、こんばんは。

いえね、それ持ってくと千円ポッキリで観れる映画があるんですよ。ということで漱石札は断念しましたが、行ってきました観てきましたよ「ユメ十夜」。これはその名の通り、夏目漱石の短編集「夢十夜*1」を10人の監督たちがオムニバス形式で自由奔放に綴った映画なんですが、製作メンバーがメンバーなだけに大評判なんですって。まあ、それはおいといて、えせ原作ファンとしてはやっぱ観とかなきゃダメっしょ、と。

で、感想書くね。うん、いいよいいよー面白かった!原作にほぼ忠実なものもあり、漱石の実生活を盛り込んだものあり、大胆にパロディ化したもの(がほとんど)もありで、8割方は楽しめました!ん?ということは2作品つまらなかったのか、となりますが、いえいえ、そうではなくて、ちょっと消化不良なんですね。どれかっていうと、まず第一夜ね。これだけは原作に忠実でいて欲しかったの。ってうん、それって自分のワガママなんだけど、原作の繊細で繊細ではかない美しさが欲しかったなぁ。…なんて。次は第8夜ね。なんだこれ、意味全然わからん。支離滅裂。面白くも何とも無い!…のだけれどね、まあ、実は原作自体がそうなんだよね、全然意味不明なの第8夜って。完全にネタも息も切れただろう、みたいな。でも実をいうと、この話だけは本当に漱石がリアルで見た夢そのまんまなんじゃないかなーって思ったりもするわけです*2。他の話は完全に作品として作りこまれているけど、この話は脈絡も無く、盛り上がりも無く、ストーリー性も感じないんだもん。だって、夢って…そうじゃない?そういう意味でいうとやっぱり監督ってすごい読み込んでるんだろうなーって感じたし、実は第8夜は原作にけっこう忠実といえるのかもしれない、のだけどね、まあ、やっぱり意味不明で(笑)。

あとの話はほぼ文句ないかなあ。ホラー、ミステリー、ギャグ、ファンタジーetc.しっちゃかめっちゃかでいい感じ。特に第7夜がびっくりした。天野喜孝すげぇ…。ということで、順位を付けるのは野暮ですがあえてやります。7→3→5→2→4→6→1→10→9→8。巷では、6・10の評価が高こうございますが、わたしはこんな感じの位置ですかね。まあ、笑える面白さイコール作品の面白さではなかったかな(←え、あんなけ笑っといて)。上位においた作品は、原作ではあえて語られなかったオチに各監督が決着を付けた、って感じのものに偏ってるかも。特に7なんかは完全にソレ。原作の救いようのなさを、幻想的に美しく昇華させてたと思う。とりあえず、漱石へのいろんな愛を感じました。では。

*1:「こんな夢を見た。」という有名な文句で始まるあれです。リンク先は映画で使用されていた新潮社の文庫。「文鳥」はまた別の作品です

*2:よく知りません。漱石研究とか読んだこと無いし